痴呆性高齢者グループホーム”炉端の家”について
-----------------------------------------------------------
今回、厚生委員会では「痴呆性高齢者グループホーム」の先駆者的自治体であります、岡山県笠岡市のグループホーム”炉端の家”を視察しました。
この施設はスウェーデンにおける「痴呆性高齢者グループホーム」を参考にし、「家庭的な雰囲気」と「修正型リアリティ、オリエンテーション(ケア手法)」をすすめるものです。
それは、「場所、建物、時間、人、環境」等による見当識障害の治療法を痴呆性高齢者のリハビリ用に修正された「修正型リアリティ、オリエンテーシヨン」(以下M.R.Oという)の対象となる比較的初期的症状の痴呆性高齢者に対して、現行の「大人数型の施設入所や入院」というケアでなく、「より家庭的で普段の生活と変わりない環境の中、穏やかにストレスなく暮らせる状況」のグループホームケアを行い、痴呆症状の進行を可能な限り緩和させようというものです。
従って、施設そのものが大人数型でなく、「より家庭に近い長屋的」なもので、定員は8名になっています。
今回の施設訪問は、入所者の皆さんに迷惑をかけないとうことで、委員の内3名が直接中にはいって見学させて頂きました。みなさん大部屋に集まって、ボランティアの方と歌ってました。各個人によって、それぞれ症状程度が違うとのことで、その人の応じて対処しているとのことでした。
施設の中を順に見せて頂きましたが、真ん中に庭の空間がありその周囲を、各人の部屋や目的別の部屋が配置されてまして、こじんまりとしたとても良い環境であると、思いました。
前記の「より家庭的で普段の生活と変わりない環境」の趣旨に添ったものでした。
以下今後の課題として笠岡市がとらえてある文章を記します。これは一自治体の問題ではなく、これから全国的に展開されるであろう、高齢者問題の本質を指すものでもあります。
『M.R.Oのリハビリが効果的と考えられる高齢者が対象であり、症状が進行すれば病院あるいは特養入所へと進む、いわゆる症状緩和のための通過施設であり、特定の10名以下のみの方を対象とした施設ではありません。
精神薄弱者グループホームや小規模作業所等とは比較にならない程の、多数の入退所のケースが考えられる施設です。
同時に、ケア目的そのものが「より家庭的雰囲気の中で」というわけですから、現在の全国的高齢化現象の中での痴呆性の増加傾向のもとで、病院併設型、特養併設型等、多様な形でのグループホームの建設が求められていると思』という内容です。
さらに、本グループホーム「炉端の家」建設の周辺には、既設施設として、地域集会所・高齢者ふれあいハウス・ゲートボール場・ふれあい広場(グランド)があり、また、グループホームを中心に「高齢者託老所・生きがいセンター」「介護サービスセンター」等の設置計画を検討するなど、この周辺を「福祉ふれあいの里」(仮称)とし、地域高齢者、障害者等の健康づくりや生きがいづくりのための拠点としたく、そういう普段の生まれ育った生活環境の中で過ごしたいという希望を取り入れ、多数の高齢者等と痴呆性高齢者がふれあうという意味からも、効果的環境の場である。
この事業を進められている背景には、小平市にもありますが精神病院施設等の問題が挙げられます。笠岡市には、全国で初めて痴呆性専門病院を開設した「きのこエスポアール病院」があり、この病院の大きなバックアップで日頃から高齢者調整チームでの検討、あるいはホームヘルプ、デイケア等、在宅福祉保健サービスの推進スタッフとして共同して取り組んできた経過の中で、自治体としても、「痴呆性高齢者に対するケアについては若干の自負もあり、この高齢者社会の中で、痴呆性高齢者の入院・治療の現実、特別養護老人ホーム入所の現実を見る時、全国に先駆けて大きな問題となっているグループホーム的実践団体の一つに加わり、地域福祉の向上に努めたい」と考えを述べてます。
最後にいつも、こういったそれまでに前例がなく最初に考え、実現化されていく時の、担当者の御努力にたいしまして、敬意を表したいと思います。また気持ちよく受け入れて頂きまして有り難うございました。
笠岡市・駅前と市街地
駅から出たとたん、とてもすっきりした、キレイな街の印象を受けました。
市役所へのみちのり、とても気持ちのよい
風が吹いていました。
この開発は長期にわたり、ようやく完成されたとお聞きしました。
そこで商店街はどうなっているのか、どうしても気になり、完成された後の活性化について聞きました。
今、全国で展開されている、後継者の問題、高齢化の問題、大店と個店との問題、となかなか解決出来ないことが、やはりハードは素晴らしいものが出来ても、ソフトを加えていくことの、難しさ、改めまして認識せざるを得ませんでした。
小平市の商店街が活性化することと、高齢者対策、精神保健福祉対策等の関係と、これからは決して無関係でないだけに、ハード面のみでなくソフト面での意識を高めていくことも必要であると、あらためて認識しました。
では実際に痴呆性老人グループホーム「炉端の家」
の概要をご紹介致します。
--------------------------------------------------------------------
コンセプト:
痴呆性の特徴であるアルツハイマー型は「記銘力」「保持力」「想起力」という人間の持つ3つの力が低下するのですが、その内「頭の中に入力する記銘力」が一番に落ち、保持力や想起力と順次低下します。そういう記銘力低下の初期症状の痴呆性高齢者に対してのケアを行うものです。まだ昔のことが記憶にあり、昔のことが思い出せる「保持力」 「想起力」を持つ痴呆性高齢者に対して、昔風の長屋を建設し。共同で普通の生活を昔ながらに営んでもらうものです。こうした環境の中に、医師や看護婦や介護者も一緒にいて、自然な形で痴呆の方と「共に生きていく」というケアを行うというものです。
定 員 8名
入所資格 笠岡市内を中心に県西南地域の痴呆性高齢者で医師等で
構成する入退所審査委員会の審査で決定された者
職員体制 施設長 笠岡市社会福祉事務所長兼務
相談指導員 笠岡市1名とエスポ1名兼務
看護婦 1名(エスポ委託)
寮母 3名(エスポ委託)
2名(市ヘルパーより異動)
2名(新採用)
県保健婦 週3日程度業務支援
スウェーデンケースワーカー 約3ヶ月、交流ボランティアの形で入ってもらい実践を学ぶ
--------------------------------------------------------------------------------
炉端の家では
個 室 入所者それぞれのプライバシーを守るため個室。
部屋には本人の望まれる道具や品物が持ち込める。
私 服 普通の家庭ですから、自由にお好きな服装でいられる。
介 護 看護婦、ヘルパー、介護士ら専門スタッフ8人で生活のお手伝いやケアをする。
外 出 介護者の同行で、車や徒歩で買い物やピクニックなどに積極的に出掛ける。
医 療 「炉端の家」から車で約7分離れたところにある痴呆性高齢者専門の「きのこエス ポアール病院」の医師が定期的に診察。緊急時も同病院が対処する。
交 流 週に2日は同病院に併設されている「デイケアセンター」へ行き、
そこへ通っている痴呆性高齢者と交流します。
費 用 1人1ヶ月 9万円です。
--------------------------------------------------------------------------------
「炉端の家」施設概要
位 置
笠岡市吉浜1399番地
土地面積
2180.668u
建 物
木造平屋建・建築面積 302.58u
和室6部屋、洋室2部屋、事務室、台所、食堂(炉端)
工事着手
平成7年12月27日
竣 工
平成8年 3月31日
工事内容
本体工事費 53,045,000円
機械設備工事費 15,810,500円
設計委託料 2,255,700円
備品購入費 2,000,000円
合計 73,111,200円
財 源
一般財源 13,811千円
県補助金 4,000千円
地方債 53,300千円
--------------------------------------------------------------------------------
--------------------------------------------------------------------------------
改めて参考:
グループホームとは
社会福祉では日本より20年は先進しているスウェーデンで、「痴呆性高齢者は集団管理では本当のケアはできない。痴呆性高齢者は「痴」である以前に1人の老人である。より家庭的な環境の中で、ストレスなしに暮らしてもらおう」と永い時間の試行の中から生まれた方式がグループホームです。
一軒に少人数で住み、看護婦やヘルパーの24時間介護体制の中で、お互いの残存能力を生かして、料理、洗濯、掃除あるいは買い物や畑作りをする普通の生活の中で、痴呆であっても人間の尊厳を大切に人間らしく生きていこうというものです。
--------------------------------------------------------------------------------
山並みの向こうに夕陽が沈んでいきました。
しばし、刻を忘れる瞬間です。 笠岡市のクチナシです
また笠岡市は七つの島へ、障害者、高齢者の方々の活力と元気を出させようということで訪問船「福祉の船」を運行しています。この事業も全国では非常に珍しいのでここで紹介しておきます。
なにしろ素晴らしい実現化で、日本でも初めてのことだそうです。構想から実現までの道のりは大変だったと考えられますが、「誰のために、どういったものを行政サービスとして、提供できるか」を考え続けていけばこういった事業も可能になるということが、実証されたものだと思います。
ではその中味を紹介します。
■構想の基本は⇒「海や島を持つ市に住みながら、そのことを知らず、見ることが出来ない障害者、高齢者の方々に、潮風の香りを伝え、離島故の特性を生かす施策で、島々に活力とゲンキを出さそう」これが、デイサービス船・夢ウェル丸構想の基本です。
また、福祉の船の発想はどのようにして生まれたのか。⇒ 市の人口の約1割が住む大小7つの離島では、平均高齢化率が30%も超え、寝たきり高齢者40人、一人暮らし高齢者310人もいるにもかかわらず、離島というハンディの前に福祉施設がなく、また、陸地の施設を利用しようにも、交通の便の悪さなどの中で、利用もままならない状況でした。そこで「福祉を出前しよう」という発想の転換によって、平成5年1月27日、日本初の福祉の船「夢ウェル丸」が誕生しました。
この福祉の船は寝たきり高齢者、虚弱高齢者、身体障害者などへデイサービスを運ぶ船として7つの有人島のうち6島(10寄港地)について月2回の割合で訪問。
一般高齢者の方は自力で来船されますが、寝たきり高齢者などはスタッフによる車椅子、スとレッチャー、電気自動車等の利用により来船されます。船内は浴室の外、リハビリ室、親睦交流室があり、血圧測定、カラオケ、健康体操などの楽しみを行って離島高齢者のコミュニケーションの場となっています。デイサービスだけでなく陸地部の高齢者や子供との交流をはじめ、一生のうち一度も船や島を経験しない障害者を招いての船上サービスなどの船を利用しての諸行事も行っている。
夢ウェル丸は、各港で常に30〜50人という利用者となっており国のデイサービス船認定による給食サービス開始も手伝い、離島高齢者を活気づけています。これまで「寝たきり」で、身体を拭いてもらうことしかできなかった高齢者が3〜4年ぶりに、特殊浴槽に入った時の・・・「生きていて良かった」・・・・との言葉もきかれその感動と喜びも書いてあります。
入浴 笠岡市ホームページより 交流